巻き爪の原因

巻き爪を起こす原因は様々考えられていましたが、爪の下側のケラチンが収縮することが最も大きな原因と考えられます。

爪は、ケラチンの走行によって3層になっています。
最外層と最下層は横に、中間層は縦に線維が走っています。
その最下層は根元から水分の多い状態で、最外層は早い時期から乾燥状態にあります。それが爪が伸びてくるにしたがって、最後のところでは下側も乾燥状態になります。

例えば、紙の片面に水をつけておいて、その紙を乾燥させると、水をつけたほうの面は収縮して紙は丸く変形します。
それと同じようなことが、爪でも起こります。

爪の性質によって、このように下側全体で収縮が起ってくる場合があります。その時、爪はきれいな円弧を描くように丸く変形してきます。
小さな爪にも、そのような変化が現れる人もいます。
足の趾(ゆび)のみならず、手の指にもそのような変化が現れる人もいます。
勿論人によって、その収縮の程度は異なります。
それは、その性質が微妙に異なるためであると考えられます。

部分的に収縮すると、その部分で強く屈曲し、全体的に均一に収縮すると、円の一部の弧の形のようにきれいな円形を造ります。
強くまく傾向のある人では、足の趾すべてで巻いてくることもありますし、更に手の指でも巻いてくることがあります。

コレが巻き爪の原因であると考えると、手術後等に再発する理由も納得できると思います。
特に、ケラチンが収縮しやすい部分が残されている場合に、その部分で再び巻いてくるという現象が起ると考えられます。

外力は、巻き爪の修飾因子ではありますが、主たる原因ではないと考えられます。

このことが分かってきますと、治療そのものが、どうあるべきかということが変わってくることでしょう。

ところで、ケラチンはお湯に浸けるととても柔らかくなります。
薬品を使わなくても、爪はお湯に浸けるととても柔らかくなります。それが、ケラチンの性質です。

ツメフラシリーズでのケアで、装具の装着後、爪をお湯に浸けていただくことをお奨めしているのは、このためです。
爪が柔らかくなって、自然にゆっくり戻ることが出来ます。

 

外的要因について

爪の下側の収縮に関しましては、ケラチンのもともとの性質として、収縮しやすい性質の爪があることもありますが、爪の下側の乾燥が進むような人工的な条件も加わっている場合もあると考えています。
なぜならば、条件によっては、再発しないことも多く認められているからです。
それは、爪の置かれた物理的条件によって、収縮が起っている可能性が充分考えられるということでもあります。
その場合、靴などの圧力条件、乾燥条件と湿潤条件の組み合わせ、化学物資等が考えられます。

しかし、主たる原因は、爪の下側のケラチンの収縮によるものと考えた方が理論的に納得できますし、現にそのような巻き爪には、爪の下側に変質したケラチンを認めます。

その理論をうらずけるような画像を 1で載せます。
兄弟で、強い巻き爪傾向をしめしています。
手のオヤユビは、中央付近で屈曲しています。爪の下側に屈曲部で、変質したケラチンを認めます。
足のオヤユビは、両側が強く彎曲して潜っています。
これらは、外に出して変質したケラチンを除去いたしますと、シンプルな形になります。
手の中指は、きれいに円形に変形しています。
これは全体的に爪の下側で、均一に収縮が起っていると考えます。

このように、一人の人に屈曲と彎曲が現れています。
靴の影響が無い趾(ゆび)や、切り方とは関係なく、このような現象が現れることが認められています。
このことから、巻き爪の主たる原因が、爪の下側のケラチンの収縮にあることが推定されます。

このように考えてきますと、手術後、そこに巻く爪が生えてこなくするような手術をした後で、残った爪が細くなって再び巻いてくることが起ることが理解できます。
一度矯正しても、再び巻いてくることが理解できます。

次の画像では、年配者の、盛り上がってくる巻き爪の矯正を供覧いたします。
年配の方では様々な変化形が現れますが、かなり強い変形でも爪が柔らかいので、比較的簡単に矯正できます。
かなり厚くなって変形していますが、変質したケラチンを取り除きますと、簡単に矯正が出来ます。

爪の下側では、そのケラチンがぬれた紙のような状態にありますが、最後の部分で、その紙の下側が乾燥して収縮し、丸まるような感じで巻き爪が起こってきます。
表面のケラチンは、初めから乾燥するところにさらされているために、収縮しにくくなっています。
この差が大きく出ますと、巻き爪という形を作ることとなります。
爪を長くしていますと、尖端が乾燥して丸くなって巻いてきますので、巻き爪の傾向のある人は爪を長くしない方が良いです